ウェアラブル技術が普及する中、医療従事者は、機能性や信頼性を犠牲にすることなく、より小型で邪魔にならない、携帯性に優れた医療機器を求めています。この傾向は「小型化」と呼ばれており、接着結合によって実現します。

医療機器における設計プロセス

適切な材料からコスト、性能特性、美的感覚、人的要因から法規制への順守、生物的適合性にいたるまで、新しい医療機​​器を設計する際に考慮すべき事項は多種多様です。すべての側面を考慮することは困難なこともあり、製品の性能が仕様を満たしていない場合、コンセプトおよび設計段階で停滞することになる可能性があります。機器メーカーは、入手可能な最新の材料だけでなく、それらのメリットと欠点についても完全に把握する必要があります。

 

医療分野での小型化を進めるために、設計エンジニアは新たな材料を機器設計に取り入れています。例えば、OEMメーカーは、加工金属、ガラス、およびその他の構造材料を精密成型プラスチックに置き換えています。なぜでしょうか?その1つの理由に、柔軟性があります。使い捨ての医療機器、あるいは一部の再利用可能な機器を製造する際には、患者の身体の上または近くで使用するため、多くの重要なパーツを折り曲げる必要があります。柔軟性のあるパーツや装置の例としては、チューブ、点滴および薬剤注入セット、カテーテル、酸素マスクおよび麻酔用マスク、血液透析装置があげられます。これらのパーツでは、基材が曲げやすく弾力性があり、大抵の場合、耐キンク性を備えている必要があります。

精密成型プラスチックで柔軟な設計を実現

プラスチックの需要が高い理由にはたくさんあります。プラスチックは軽量かつ頑丈であり、色彩に富んでいます。本来備わっている絶縁特性により、衝撃、湿気および振動への耐性があります。これらの特性のすべてが、滅菌や消毒の対象となり、在宅医療や医療現場での使用向けに世界中に出荷される機器に適したものにしています。 

高速で成形することができ、複雑な形状をした同一パーツを何百万個も生産できることもプラスチックの魅力です。高速成形は他の生産工程と比べてスピードが速く、コストも抑えられる可能性があります。

医療機器OEMのこの複雑な状況では、接着剤は小型化された複雑な機器に利用できる数少ない接合オプションの1つとなります。 

迅速な自動組み立てを実現するだけでなく、接着剤は異なる基材の接着や、ギャップの充填、ボンド部への負荷の分散にも利用でき、パーツ間を気密封止します。

前述したように様々な課題があります。設計している医療機器の重要な性能特性は何ですか?また、成果を得るために役立つ材料と組み立て方法には何がありますか?

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著者 Jason Spencer, 医療機器のグローバル市場開発マネージャー